インフルエンザ

最近、お客様に隠し味は何ですか?だとか何を入れたらこの味になるんですか?等とよく訪ねられます。

以前からたまに聞かれる事はあったのですが、ここ最近特に増えました…

アクセントで山椒や花椒、柑橘を使ったり、コクを出したり味をまとめるのに白ごまをパスタに使ったりします。

しかし訪ねられるのが、それらを全く使わないスープなのです…

基本的にどの料理も味つけで使うのは塩だけですが、特にスープには塩以外の調味料は使いません。

ポタージュには素材の野菜と牛乳とクリームと塩だけです。

私がポタージュを作るときに気を付けることは、野菜をソテーするときの塩加減と焼き加減で旨味を最大限に出すこと、空気を沢山含ませながら滑らかになるまでミキサーにかけること、それと1番気を付けている事で他の料理全般にも言える事ですが、食材にストレスを与えないように調理する事です。

素材から旨味を引き出すのは塩だけです。空気を沢山含ませるのは味が円やかに優しくなるからで、滑らかにするのは舌触りが良く旨味が口いっぱいに広がり、幸福感が得られる為でどれも欠かせない工程です。

最後の、食材にストレスを与えないように調理すると言うのは、野菜を水で洗うとき、ナイフでカットするとき、鍋で焼くとき、煮るとき…全て丁寧に扱う様にします。小さくてか弱い生き物を扱う様に。

特に食材に火を入れるときは、肉でも魚でも野菜でも、たったそれだけの気遣いで味や食感は格段に変わります。

パンの生地を練るときもグルテンを出すために叩きつけたりしますが、私はしません。
衝撃を与えることでグルテンは出ますが、叩きつけるだけが衝撃の与えかたではないので、練る時間を長くしたり強弱を付けて練ることでパン生地にストレスを与えないようにしています。

バタバタと時間に追われず、ストレスを抱えずに食材と料理に向き合いたいと考える様になって、この食材にストレスを与えないように調理するという大切な隠し味を見つけられました。

芸術家でもあり料理家でもあった北大路魯山人は、料理をする上で1番大切なのは親切な心だと言っています。

それは食べて頂く人への親切な気持ちも勿論ですが、食材や器や道具に対してもその気持ちは持つべきだと言うことなのでしょう。

お客様に訪ねて頂いて、やっぱり違いが出るのだと教えられました。

本当に毎日気が付く事が沢山あります…

さて、今日のディナー営業は私独りでした(笑)

ランチはもう一人スタッフが居たのですが、ディナーは完全に独りです。

皆インフルエンザにかかりました…

何故か私だけ元気で、一人で営業しましたが幸いなのでしょうか…暇で助かりました(笑)

ここ数日食べ物と食べ方に気を付けて、仕事帰りも地下鉄は辞め毎日40分かけて歩いています。

健康と節約の為です(笑)

寒すぎて首に巻いているマフラーを顔に巻いて目だけ出して歩く時もありますが、色々歩きながら考え事も出来て好きな時間です。

皆様もくれぐれも気を付けてください。