枯葉

昨日は雨だった事もあってか久しぶりに暇なカメリーノでした。

先日 私の父が一時心肺が停止したと連絡があり、今は持ち直したのですが 色々考えてしまいラジオを聴き気持ちを紛らせながら仕込みをしました。

ビル エバンスのオータムリーブスが流れ20代の頃、大人の世界に憧れて良くジャズやブルースを聴いていた事を思い出しました…結局最近はあまり聴かなくなってしまいましたが…

オータムリーブスはビルエバンスらしい優しくしなやかなピアノのタッチに軽快なリズムがとても心地よく、軽い足取りで枯葉の上を歩く音の様にも感じます。

こういう表現を料理でも出来るようになりたい。

次の店の料理の構成はきっと今までにないスタイルになると思います。

美味しい料理を作る人も、素晴らしく、美しい料理を作る人も尊敬できるシェフ達も星の数ほどいますが、私が表現したい料理は、食べる人それ

ぞれが自由に何かを感じ、過去の思い出、又は感動や心に響くもの、口にした時に思わず涙が出てしまうような料理を作りたいと思っています。


元々この仕事を最初に勧めてくれたのは父でした。

山で木を切ってトラックで運ぶ仕事をしていた父は、外の仕事は本当に大変で辛いからと言って、室内で働け食べるものに困らない料理人になれと、私が中学生位の頃から言っていました。

まさか本当になるとは思ってもいませんでした…(笑)

それでもその時に言われていなかったら今は無いかもしれません。

父の助言と、好きな事を形にして生涯やり通す事が、私がこの仕事を選んで続けて来た理由である事を改めて思い起こさせてくれました。


さて、昨日はこれから寒くなる時期にはピッタリの料理 牛肉の「カスレ」を仕込みました。

言わばシチューですが、カメリーノのエッセンスを加え仕上げました。

芳ばしく表面をリソレした牛肉の香りと、その奥に潜む焦げたキャラメルのニュアンス、ソースの旨味がホロホロに煮込んだお肉と 敢えて選んだ自己主張の強い野菜と絡み幸福感が溢れます。

メルローカベルネソーヴィニヨン等と合いそうですが先日見付けた94年のドイツのリースリングもブランシールしただけの無骨で自由な野菜達を纏めてくれます。

リースリングはメニューにありませんのでお問い合わせください。